2009.3.14 Lens Test in Kamakura (3) 鎌倉

Lens Test in Kamakura (3) - Lense made from 1893 to 1908
明治26年から明治41年までの5本のレンズ比較

Camera: Canon EOS 5D
Test 1 Ume
Test 2 Mitsumata
Test 3 White Ume
Test 4 Approach
Test 5 Roof
Test 6 Cherry Blossom
Test 7 Cherry Blossom (2)

Camera: Canon EOS 5D
Carl Zeiss Jena No 4475 Anastigmat Series I 1:4,5 F-183mm (1893)
Carl Zeiss Jena No 36606 Planar Serie Ia 1:3,6 F=110mm (1899)
C.P. GOERZ BERLIN No.42564 DOPPEL ANASTIGMAT F=120m/m (1901)
Carl Zeiss Jena No 63822 Unar Series Ib 1:4,7 F=145mm (1903)
Carl Zeiss Jena Nr 103898 Tessar Series IIb 1:6,3 F=148mm (1908)

ほとんど使っていなかった明治時代のレンズを持ち出して比較してみました。Zeiss Anastigmat I, Ia, Ib, IIbにDagorを加えた初期のアナスチグマットレンズ。場所 は3週続けて春の北鎌倉、東慶寺と建長寺。東慶寺の庭は大きくないのですが、レンズテストがやりやすいので気に入っています。梅は花の期間が長いので助かります。
今回はF3.6からF6.3までレンズによって明るさがかなり違います。F6.3に統一すれば良いのですが、Series Iはウォーターハウス絞りの板がないし、PlanarとUnarとTessarはは絞りの目盛がmm表記でF6.3がどこか分からないし、 唯一F値指標のあるDAGORは絞りが固くて自由に動かないし。結局指定したF値に絞れるレンズは一本もないのでした。 ただし、途中で気が変ってPlanarだけはF5.6くらいまで勘で絞っているカットがあります。絞り値を記載しておきましたので参考にしてください。 シャッタースピードは明るさがおなじくらいになるように、マニュアルで適当に調整しています。ところで、各レンズの開放F値をキヤノン 70-200mm F4 USMと明るさを比較してみると、
Protar Series I 1:4.5 ---> F4.5 だいたい表記通り。
Planar Series Ia 1:3.6 ---> F4.0 ちょっと表記より暗いようです。
Dagor F値表記なし、絞り指標はF6から ---> F8くらいです。明らかに他より暗い。
Unar Series Ib 1:4.7 ---> F5.6 ちょっと表記より暗いようです。
Tessar Series IIb 1:6.3 ---> F7.1 ちょっと表記より暗いようです。
当時はコーティングがないので、現代のレンズより半絞りほど暗くなるのは当然のような気がします。 ZeissのF値表記の基準は現在のキヤノンとほぼ同じと言っても差支えないと思います。

Test 1 Ume


--- Protar I F4.5 ----------- Planar Ia F5.6 ----------- Dagor F6 ----------- Unar Ib F4.7 ----------- Tessar IIb F6.3 ---


Test 2 Mitsumata


--- Protar I F4.5 ----------- Planar Ia F5.6 ----------- Dagor F6 ----------- Unar Ib F4.7 ----------- Tessar IIb F6.3 ---

Test 3 White Ume


--- Protar I F4.5 ----------- Planar Ia F5.6 ----------- Dagor F6 ----------- Unar Ib F4.7 ----------- Tessar IIb F6.3 ---

Test 4 Approach


--- Protar I F4.5 ------ Planar Ia F5.6 ------ Dagor F6 ------ Unar Ib F4.7 ------ Tessar IIb F6.3 ---


Test 5 Roof


--- Protar I F4.5 ----------- Planar Ia F3.6 ----------- Dagor F6 ----------- Unar Ib F4.7 ----------- Tessar IIb F6.3 ---

Test 6 Cherry Blossom


--- Protar I F4.5 ----------- Planar Ia F3.6 ----------- Dagor F6 ----------- Unar Ib F4.7 ----------- Tessar IIb F6.3 ---

Test 7 Cherry Blossom (2)


--- Protar I F4.5 ----------- Planar Ia F3.6 ----------- Dagor F6 ----------- Unar Ib F4.7 ----------- Tessar IIb F6.3 ---

Zeiss Anastigmat I類 F4.5はポートレートレンズだけあって、他と少し違います。うまく使えば素晴らしい女性ポートレートが撮れそうですが、技術が要りそうです。Zeissの台帳にI類はわずか30本ほどしか記載されておらず、多分ほんのわずかしか製造されなかったようで、他で作例を見たことがありませんので、これがI類本来の写りかどうかはわかりません。
Planar Ia類 F3.6は開放でも良いのですが、少し絞るとさらにシャープになります。Planar 3.6はZeissの台帳から欠落しており、1900年までにいったい何本作られたのかはっきりしません。写真用としてはボケがせわしないかもしれませんね。
Dagorは大いに見直しました。買った時にはなぜかデジカメとの相性が悪いものだとばかり思っていました。開放でF8くらいの明るさですが、適度に柔らかくて被写界深度が深いので、使いやすかったのだと思います。
Unar 1b類とTessar IIb類は、良く似ており、どちらも素晴らしいレンズです。Unarの方が明るい分、優秀かもしれません。Tessarの方が少しコントラストが高いかもしれません。Unarが優秀であるにもかかわらず、すぐに消えてTessarに変わったのは、レンズの性能ではなくて、Tessarの方が安かったからではないかと推測します。Tessarは3群ですが、Unarは4群ですので、金物がその分高くついたのだと思います。職人が当時の旋盤で複雑なネジを切るのは、なかなか量産効果が出なかったのかもしれないなぁ、と思っています。昭和の初めに山崎光七氏が日本で最初にレンズを製造されたとき、ここで使っているレンズが製造されてから20年以上後であるにもかかわらず、金物ができなくて苦労されたそうです。


Carl Zeiss Jena No 4475 Anastigmat Series I 1:4,5 F-183mm (1893)









F=4.5, Right: Pixel crop


F=4.5
独特のやわらかな描写は春向きかもしれませんね。もっと使わなければと思いました。


Carl Zeiss Jena No 36606 Planar Serie Ia 1:3,6 F=110mm (1899)



F=5.6, Right: Pixel crop


C.P. GOERZ BERLIN No.42564 DOPPEL ANASTIGMAT F=120m/m (1901)











F=6 (actually F=8), Right: Pixel crop


F=around 16, Right: Pixel crop


F=6 (actually F=8)
このGOERZ DOPPEL ANASTIGMATは1901年頃のものだと思います。1904年にDAGORと改名されたようです。このレンズが作られた6年前の1895年には既に3万本出荷されていたとキングズレークの”写真レンズの歴史”に書いてありますが、このレンズのシリアルナンバーが4万2千番台ですので、ちょっと多すぎますね。それでも相当数が売れたようですので、1895年以前のレンズを見つけることも可能だと思います。GOERZの1895年のシリアルナンバーは不明ですが、3万番以下であれば最初期と言えると思います。


Carl Zeiss Jena No 63822 Unar Series Ib 1:4,7 F=145mm (1903)








F=4.7, Right: Pixel crop
焦点距離の短いUnarはめったに売りに出ませんが、もし見つかれば安いのでお買い得です。最大の特長は、他に作例を発表している人がいないことです。Bausch & Lomb-Zeiss Portrait Unarというのもあるようですが、これは試したことがありません。


Carl Zeiss Jena Nr 103898 Tessar Series IIb 1:6,3 F=148mm (1908)





F=6.3, Right: Pixel crop
Tessarの本当に古いのが欲しくなりました。Zeissの台帳上では、最初にTessarが最初に登場するのが1902年56,663番470mm F10, その次が57,661番16.5cm F4.5。年別では、1902年(4本)、1903年(7本)、1904年(40本)ですから、1904年の72000番くらいまでなら最初期と言えると思います。もちろん、ツアイスの台帳には抜けがいっぱいありますので(この頃になると100本に1本くらいしか記載されていません)、実際にはもっとたくさん作られていると思います。もし56,663番以前のTessarあるいはAnastigmat IC/IIBが見つかれば、それはかなり自慢できると思います。